ビジネス書業界が「ゴーストライター問題」に口を閉ざす訳
みなさんご無沙汰しております。水野俊哉です。
基本的に前回、投稿以降、2月はひたすら執筆に専念する日々なのですが、
相変わらず受講生の新刊が相次いでいるようです。
私の方も3、4月で2、3冊新刊が出て、それ以降の刊行も続きますので
近年は出版プロデューサー的なポジションでみられることも多かったのですが、
2010年以来、「作家 水野俊哉イヤー」となりそうです。
そういえば今年もワールドカップがあるので、4年に1度やる気を出す感じでしょうか。
いた、普段から本気ですが!?
それはともかく、今話題なのが「現代のベートーベン」と呼ばれていたらしい
佐村河内守さんのニュースです。
なんでも長年、彼の楽曲の制作を代わりに行っていた人物が、
「私はゴーストをさせられていた」と名乗り出て、テレビや新聞で大騒動になっているので、
嫌でも目に入るのですが、
不思議なのは普段はどうでもいいネタ(ベストセラーがかける方法を見つけました! 出版してブランド人になる方法を教えます
新刊が出ます、電子書籍がまぁまぁ売れました)をプロパカンダならぬ
出版社の少ない宣伝予算を補うべく、
ビジネス書著者の先生やビジネス書編集部、本を出しているセミナー講師のみなさんなどが、
まるでこのニュースが存在しないかのように黙殺しまくっていることです。
いやいや、ゴーストライターとかなんか思っていることあるでしょ!?
って話なのですが、世間一般の反応と違い、無言にならざるを得ないのは、
以前、私の本でも書きましたが「ビジネス書の著者、”自称”作家で自分で本を書いている人間がほとんどいない」
(「成功のトリセツ」(角川書店 )からでしょう。
まぁ、ビジネス書の著者とはいえ、
普段は会社の経営者やコンサルタント、法人研修講師もしくはフリーター(?)までいますが、
本業の作家ではないのでスキルや時間的な問題でライターさんや編プロさんや編集者が、
著者にインタビューして原稿を書いているわけです。
でもそれ自体は別にいいのではないでしょうか?
昨今はそのジャンルで一流の方の「職業、ブックライター。」という本も出てましたし
(私もDIMEの書評欄で紹介しましたが)、
スポーツ選手やタレントの著作はゴーストライターが書いているのは公然の秘密であり、
バラエティーにおける演出とやらせと似た範疇の話です。
今回、問題になっているのは、
佐村河内守さんが聴覚を完全に失った現代のベートーベン、
奇跡の音楽家としてセルフプロデュースして作品を売りまくっていたという点が一番だと思います。
つまりですね、なんらかの理由で別人が作品を書いていたとしても、
協力クレジットが入っていたり、ユニット、プロディース作としてリリースされていればギリギリセーフでしょうし、
後は本人の問題として「自分で自分にウソをついてはいけない」ということです。
これは私も以前より不思議だったのですが、
自分で書いていないのに「私の作品です。今回は魂込めました」とか
「アーティスト性がどうのこうの」とか、
たまにブログやメルマガで書いているのを見た時には、
さすがに「マジか!?」とお茶を噴きだしそうになりますよ。
同業界の人間でも。
こういう人は実力とか才能とか努力とか、
お金ではどうにもならない物差しを無視していたり、
自意識過剰の病気の一歩手前であることは事実だと思います。
私も出版セミナーを主催していますが、
昔から不思議なのは「自分で書いていない人間」(ようは原稿はライターさんや編プロや編集者が書いているってこと)が
「本の書き方教えます」とか「出版の方法」とか(これはある意味、聞いてみたい!? 書かなくても出せる魔法の方法)
あろうことか「ベストセラーの書き方を教えます」と平気でセミナー開催してたりして、
「いやー、商魂逞しいなー」とか「おいおいおい!」と心の中で突っ込んでいたのですが、
今回のことで世間一般にみなさんも、ほぼ同感覚であることがわかり、少し安心しました。
「マーケティング主導で本は売れさえすればいい」
「金を払ってでもベストセラーを作れ」
「著者は広告塔で作品は中の人が作成しましょう」
などという考え方が根底にあるのは、読者をナメてますからね。
私自身はこれまでコツコツと全部自分で原稿を書いてきていますし、だから「ビジネス書の作家」と名乗っているのです。
また、私の出版セミナー受講生でもライターさんにお願いしているケースもありますが、
そういう場合は「著者」(著作権者)であることは事実だとしても、
調子に乗って読者(=お客さん)に誤解を与えるような言動をしている人はほとんどいないと思います。
まぁ、今回のことも2,3週間すれば忘れ去られるんでしょうが、
自分で本を数千冊買ったり、
広告だして書店ランキングも操作して「ベストセラーになりました」とか、
そういうのにダマされない目を持つことも消費者目線では必要なのかと思います。
なお、この文章を参考にしてもらうのは構いませんが、
面倒くさいのでテレビなどの取材はお断りしていますので悪しからず。
水野俊哉 @執筆中
○写真
沼津の書店
東京の大型書店とは品ぞろえが違うので、見ているだけで楽しいです
近所のイタリアン
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2月14日「今は苦しくても、きっとうまくいく 」(PHP研究所)
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この度、縁あって小学館「DIME」で1p ビジネス書の書評を連載することになりました!
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